再読文字は受験生にとって難しい文法事項ですよね。
ルールも独特で、他の漢文の文法事項とは独立して覚えないといけない項目です。
そこで、今回の記事では再読文字のルールを徹底解説します。
また、主要な再読文字の意味と読み方、更に覚え方までをセットで解説していきます。
この記事を読むことで、再読文字に対する苦手意識もなくなるはずですので是非最後までご覧ください。
再読文字とは
「再読文字」を簡潔に説明すると、文字通り『再び読む文字』です。訓読する際に、二度読む特殊な文字となります。
再読文字のルールをお伝えする項目で詳しくお伝えしますが、返り点とセットになることで一度目の読み方と、二度目の読み方は全く異なります。
再読文字のルール
一度目は返り点を無視すること
再読文字を読む際のルールの1つ目は、一度目は返り点を無視して読むということです。
基本的な漢文の読み方、書き下し方に慣れた受験生にとっては、特殊な読み方に戸惑うかもしれませんが、再読文字として使う漢字とそのルールさえ覚えてしまえばあっさりと習得することができます。
書き下し文にするときは二度目の読みをひらがなで表記すること
再読文字の二度目の読み方は、全てが日本語の文法事項でいうところの助動詞にあたります。
書き下し文にするときの助詞・助動詞はひらがなで表記することをここでもう一度押さえておきましょう。
再読文字を学習することによって、書き下し文のルールを再確認できるので一石二鳥です。
覚えるのは7種類10個だけ
高校の漢文において、再読文字に使う漢字は10個だけです。
また、この10個の中にはそれぞれ同じ用法として扱う漢字もあるため、7種類の用法だけ押さえましょう。
再読文字の意味と覚え方
再読文字の意味の意味と読み方
では実際に各再読文字の読み方と意味を押さえていきます。
ここに書いてある漢字の意味と読み方、そして先に解説したルールを覚えるだけで再読文字の項目はもう完璧です。
『未』の意味と読み方
『未』は『未(いま)だ○○ず』と読み、まだ○○しないという意味があります。
未定など現代日本語のなかでも頻繁に使われる漢字です。二度目の読み方の『ず』は打消しの助動詞で、○○ないという意味があります。
『当・応』の意味と読み方
『当・応』は『当・応(まさ)に○○【す】べし』と読み、当然○○すべきだ、きっと○○するだろう、などの強い提案や確信を表す意味で使用されます。英語では『had better』に該当する使い方ですね。
『当』の漢字は、当然など今の日本語でも使われています。
二度目の読み方の『べし』は推量の助動詞です。ただし、強い確信をもって推量している点に注意が必要です。
『将・且』の意味と読み方
『将・且』は『将・且(まさ)に○○【せ】んとす』と読み、ちょうど○○しようとするという意味があります。
二度目の読み方の『んとす』は文法的に分解すると、推量・意志の助動詞『む』+格助詞の『と』+動詞の『す』が連語となっており熟語のような働きになっています。
『宜』の意味と読み方
『宜』は『宜(よろ)しく○○【す】べし』と読み、○○するのがよいという意味があります。英語では『should』に該当する使い方です。
二度目の読み方の『べし』は『当・応』と同じように使われていますが、適当の意味を持つ助動詞です。
『猶・由』の意味と読み方
『猶・由』は『猶・由(な)お○○がごとし』と読み、まるで○○のようだ、ちょうど○○と同じようなものだという意味があります。
二度目の読み方の「ごとし」は比況・例示の助動詞で、『ような・ようだ』と訳します。
『ごとし』はほとんどこの訳し方しかないため、迷うことはありません。
『須』の意味と読み方
『須』は『須(すべか)らく○○【す】べし』と読み、○○しなければならないという意味を持ちます。
英語でいうと『must』に該当する使い方です。
二度目の読み方の『べし』は、ここでは義務を表す助動詞として使われています。
『蓋』の意味と読み方
『蓋』は『蓋(なん)ぞ○○【せ】ざる』と読み、なぜ○○しないのかという疑問もしくは、なぜ○○しないのかいやしたほうがよいという反語の意味があります。
疑問か反語の意味どちらで使われているかは読解を通して判断しなければいけない点に注意が必要な再読文字です。
二度目の読み方の『ざる』は打消しの助動詞で『しない』という意味があります。
再読文字の覚え方
再読文字は7種10個だけしかないとは言っても、そのまま暗記することは難しいです。
そのため、再読文字をどのように覚えていくかを簡潔にまとめました。
漢字から覚えた方が覚えやすい再読文字
『未・当・宜・須・将』は現代日本語の熟語と関連付けて覚えた方が、暗記しやすい再読文字です。
『未』は、「未定」「未知」といった熟語からわかるように、まだ決まっていない事柄に対して使われます。
『当』は、「当然」という熟語があるように、現代日本語でも強い断定や推量で使われています。
『宜』は、「適宜」という熟語から、○○した方がよいという意味で使われています。
『将』は、「将来」という熟語と関連性があり、未来を表す再読文字として認識できます。
最後に、『須(らく)』は、「必須」として覚えてしまいましょう。必須は必ず必要という意味ですね。そこから転じて『○○しなければならない』という意味につながります。
一緒に使う再読文字とセットで覚える再読文字
意味と読み方の項目でも表記していますが、『当・応』と『将・且』はそれぞれワンセットで覚えることをお勧めします。
覚え方としては、まず熟語から連想しやすい『当』『将』を先に覚えて、『応』『且』を特殊な例として覚えます。
また、当て字で『当然(とうぜん)、応(こた)える将且(まさかつ)くん』と覚えると意味も押さえられるのでおすすめです。
独立して暗記しないといけない再読文字2種類3個
現代の日本語ともあまり関連性がないのが、『猶・由』と『蓋』です。
ただし、これら3つの漢字は使用方法が限定的なので意味から押さえてしまいましょう。
漢文のポイントは漢字の意味からおさえること
再読文字では、漢字の意味を押さえると非常に暗記がしやすいということが理解できたと思います。
漢文は漢字の意味を理解して読解していく学問分野なので、覚えにくい漢字は語源から覚えていくとより漢文が得意になります。
そのため、漢文を学習する際は漢字の勉強も並行して行うと効果的ですよ。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回のポイントは以下の通りです。
- 再読文字は『再び帰って読む文字』
- 再読文字の覚え方は現代日本語の熟語と関連付けて覚えること
- 現代日本語であまり使わない再読文字は意味から押さえること
再読文字は種類が多いと敬遠されがちですが、再読文字として使う漢字と使い方さえ押さえてしまえば、難しくはありません。
本記事でしっかりとおさらいして、さくっとマスターしてしまいましょう。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。受験生の皆様の一助になれば幸いです。