相対速度、相対加速度とは?図と例題で徹底解説

相対速度、相対加速度とは?図と例題で徹底解説

相対速度とは

以下の2つの場合を想像して欲しい。
A)電車に乗っている時。一緒に載っている人(動いていない人)は、当然止まって見える。
B)一方踏切で待っている際に、電車が通り過ぎる時。電車内の人は、ものすごいスピ―ドで、通り過ぎていく。

同じ電車内の人なのに、どうして違いが生じるのか。
それは、「見る人」が違うからである。

具体的には、
A)の場合は、「見る人」が、一緒に電車に乗って動いている。
B)の場合は、「見る人」が、止まっている。

これを、物理の言葉で言うと、

「見る人」に対する「電車内の人」の速度が違う。
(=「見る人」が動いているか止っているかで、変わってくる。)

この考えが、相対速度である。

それでは、相対速度について、以下で詳しく説明する。

相対速度の定義

電車内の人の速度を \(V_{電車人}\)、「見る人」の速度を\(V_{見る人}\)とする。
すると、さきほどの、「見る人」から見た「電車人」の相対速度は、以下のように定義される。

\[V_{電車人}-V_{見る人}\]

たとえば、A)の場合。
電車が時速50 km/hで動いているとする。
すると、\(V_{電車人}=50\)。(電車と共に動くので)
同じく、\(V_{見る人}=50\)。

よって、「見る人」から見た「電車人」の速度は、

\[V_{電車人}-V_{見る人}=50-50=0\]

である。よって、止まって見える

一方、B)の場合。
\(V_{電車人}=50\)であるが、「見る人」は、\(V_{見る人}=0\)である。よって、
\[V_{電車人}-V_{見る人}=50-0=50\]である。

よって、A)とB)の場合で、相対速度が異なるため、見え方が異なる。

一般に、

Xに対するYの速度は、
\[V_{Y}-V_{X}\]と定義される。

覚え方のコツ

相対速度は、「どっちからどっちを引けばいいの?」と混乱してしまう。そこで、以下のようにして、覚えると良い。

たとえば、Xに対するYの速度なら、
step1【「~に対する」とついているけど、結局どっちの速度?ー「Yの速度」】
step2【ということは、大事なのは、XとYどっち? ー 「Y」】
step3【大事な方が先にくるから、結局、\(V_{Y}-V_{X}\)。】

つまり、「大事な方が先」をキーワードにすると良い。

相対速度の例①一直線上の2物体について

例題:東に20 km/hで進む自動車と、西に10 km/hで進むバイクがいる。このとき、バイクから見た自動車の速度はいくらか?

解説
バイクから見た自動車の速度なので、さきほどの、「大切なものが先」を思い出すと、
\[V_{自動車}-V_{バイク}\]

それでは、自動車とバイク、それぞれの速度を求める。速さではなく、速度なので、「向き」も考える必要がある。たとえば、東向きを正にすると、

\(V_{自動車}=20\) km/h 、\(V_{バイク}=-10\) km/h

となる。よって、\[V_{自動車}-V_{バイク}=20-(-10)=30 \] となる。
いま、東向きを正に決めたので、答えは、東向きに30 km/h

例題演習

例題:物体Aは、北向きに速さ\(V\) で進み、物体Bは、南向きに速さ\(v\) で進んでいる。このとき、Aから見たBの速度は、どちら向きで大きさはいくらか?

解説:「大切なものが先」を思い出す。
Aから見たBの速度を求めるので、「大切なもの」はBである。

よって、(Bの速度)-(Aの速度) を計算すればよい。

B、Aそれぞれの速度を求める際に、どちらを正にするか、問題文で指定がない。よって、自分で自由に決める。
たとえば、北向きを正にする。

すると、Bは南に速さ\(v\) より、(Bの速度)=\(-v\) 
Aは北に速さ\(V\) より、(Aの速度)=\(V\) 

よって、
\((Bの速度)-(Aの速度)=(-v)-V=-(v+V)\)
となる。

Vとvは速さより、ともに正であるから、\(-(v+V)<0\)である。
よって、向きは南向き

大きさは、\(|-(v+V)|=v+V\)である。(※数字でいうと、|-6|=6のイメージ)

よって、答えは、南向きに \(v+V\) 

一直線上にない2物体の相対速度

相対速度の例②

ここまでは、同一直線上の2つの物体について見てきた。しかし、そうでない場合でも、相対速度を考えることができる。
たとえば、以下の場合である。

このとき、Aから見たBの相対速度を考える。
本質的には、さきほどまでと同じで、「大切な方が先」である。

この場合、結局は「B」の速度を求めるので、大切なのは「B」。

よって、相対速度は、\[\overrightarrow{V_{B}}-\overrightarrow{V_{A}}\]となる。

先ほどと少しことなり、「→」が付いている。
これは、数Bで学ぶ「ベクトル」というものである。

矢印の長さで「大きさ」を、矢印の方向で「向き」を表すものである。
大きさと向きの両方の情報を含み、「速度」と同じ概念である。

よって、今回の問題を、以下の矢印の図として表すことができる。

この矢印の図から、どうやって相対速度を求めるのか。

まず、相対速度の式

\[\overrightarrow{V_{B}}-\overrightarrow{V_{A}}\]

を思い出す。

ここでも、「大切なものが先」である。

「B(の矢印)」が大切であるので、相対速度は以下の赤矢印で表される。

「大切な」Bの矢印の先に向かって、相対速度の矢印が引かれている。(大切なものが先)
この矢印の大きさと向きが相対速度である。

よって答えは、大きさ\(10\sqrt{2}\) m/sで、向きは上図の赤矢印の方向。

となる。

例題演習

 

例題:以下の図のように、北に速さ \(V\) で動くバイクAと西に速さ \(\sqrt{3}V\) の速さで走るバイクBがある。このとき、Bから見たAの速度の大きさを求めよ。

解説

問題文をベクトルの図ににすると、以下のようになる。

「大切なものが先」を思い出すと、Bから見たAの速度は、

\[\overrightarrow{V_{A}}-\overrightarrow{V_{B}}\]

となる。この相対速度を図に書きこむと、以下のようになる。
(「大切な」なAの矢印の先に向かって、相対速度の矢印を引く)

この赤矢印の大きさは、(60°の直角三角形の1:2:√3を思い出すと)

\(2V\) である。・・答え

相対加速度とは

加速度にも、大きさと向きがあるため、基本的にはすべて相対速度と同じである。よって、詳細は省略する。

相対加速度の定義

X(加速度 \(\overrightarrow{a_{X}}\) )に対する、Y(加速度 \(\overrightarrow{a_{Y}}\))の加速度は、

\[\overrightarrow{a_{Y}}-\overrightarrow{a_{X}}\]


である。

例題演習[発展編]~相対加速度と運動方程式~

例題:以下の図(左)のように、静止している物体A(質量 \(M_{A}\)) の上に、一定の加速度(大きさ \(a_{B}\)) で左に進む物体B(質量 \(M_{B}\))がいる。物体AとBの間には、摩擦は働かないとする。この状態から、物体Aを一定の力(大きさ \(F_{0}\)) で右に引き始めた(図の右)。 この時の時刻を \(t=0\) 、速さを \(v_{0}\) とする。このとき、物体BのAに対する速度が、左向きに大きさ \(V\) になる時刻 \(T\)を求めよ。ただし、物体BがAから落ちない範囲で考える。

解説:
物体BのAに対する速度を求める。よって、物体Bの運動を、「Aに対する」という条件で考察する。

左向きを正にすると、
(step1)まず、(Aに対する)Bの初速度は、 \(v_{0}\)である。(時刻 \(t=0\) ではまだ物体は動いていないので)

(step2)次に、(Aに対する)Bの加速度は、Aの加速度を\(a_{A}\) とすると、
\(a_{B}-a_{A}\) になる。

Aの加速度 \(a_{A}\) は、運動方程式より、

\[-F_{0}=M_{A}a_{A}\ →\ a_{A}=-\frac{F_{0}}{M_{A}}\]

よって、(Aに対する)Bの加速度は、

\[a_{B}-a_{A}=a_{B}+\frac{F_{0}}{M_{A}}\]

(step3) よって、(Aに対する)Bの運動は、初速度 \(v_{0}\)で加速度 \(a_{B}+\frac{F_{0}}{M_{A}}\)の等加速度運動。
そして、この運動に対し、Aに対するBの速度が \(V\) になる時刻 \(T\) を求める。

等加速度運動の公式 \(v=v_{0}+at\) へ代入し、

\[ V=v_{0}+(a_{B}+\frac{F_{0}}{M_{A}})T\]

を計算すればよい。答えは、以下である。

\[T=\frac{(V-v_{0})M_{A}}{M_{A}a_{B}+F_{0}}\]

 

 

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