原子量の“親戚”にあたる分子量。
分子量の計算は、高校化学では当たり前のように必要になります。
考え方は原子量とほとんど一緒!
この記事で、基本や計算方法を身に付けよう!
※原子量について詳しく勉強したい人はこちら!
分子量とは?
原子量と同様、12C = 12を基準として、分子1個の相対質量を求めたものを『分子量』という。
分子量は、分子を構成する原子の原子量の総和
分子量は、分子を構成している原子の原子量を足しわせることで求まる。
たとえば・・・
【H2Oの分子量は?】
H2Oは、「2つのH」と「1つのO」からできているので、
H2Oの分子量 =(Hの原子量×2)+(Oの原子量×1)
分子量にも単位はない
12C原子1個の質量を、「12」と定義したのが相対質量である。
この相対質量は、あくま数値であり、”グラム”などの単位はつかない。
相対質量から求まる原子量に単位が無かったのと同様に、分子量にも単位はない。
例題
C6H12O6 (グルコース)の分子量を求めよ。ただし、原子量は、H = 1、C = 12 、O = 16
解説:
(C6H12O6の分子量) = (Cの原子量)×6 + (Hの原子量)×12 + (Oの原子量)×6
よって、12×6 + 1×12 + 16×6 = 180・・答え
※ 数学的に考える別解として、
C6H12O6
→6×(CH2O)
→6×(12+1×2+16) = 180
化学では、数値計算をいかにスムーズにこなすかも大事になる。
こういった小技も知っておくと便利である。
分子量と式量
分子式と組成式
H2Oなどの分子は、以下のように、分子が1つ1つ分かれている。
なので、最小単位がH2Oであり、H2Oを分子式と言う。
一方、塩化ナトリウム(NaCl)は、以下のように、分子1つ1つが分かれているわけではない。
以下のように、Na+イオンとCl-イオンが、イオン結合でつながっている。
(※イメージ図であり、厳密に正しくない。)
つまり、分子に相当するようなものを取り出すことができない。
このような物質の場合、NaとClの組成(何:何で構成されているか)を式として表す。
これを組成式という。
塩化ナトリウムの場合なら、Na:Cl=1:1なので、NaClとなる。
式量とは? 分子量との違いは?
分子量とは、H2OやCO2などの分子に適用される。
一方、式量は、塩化ナトリウム(NaCl)などの組成式で表される物質に適用される。
H2OやCO2が分子なのに対し、NaClは組成”式”であるので、「式量」と呼ばれる。
ただし、(NaClの式量) = (Naの原子量) + (Clの原子量)で求めるので、結局、分子量とやることは同じである。
イオンも”式量”
たとえば、Cl-イオンなどの”式量”も定義されている。
Cl-イオンの式量 = Clの原子量 である。
つまり、イオンの式量は、符号を無視した中性原子の原子量と同じである。
また、OH-イオンの式量も、”-(マイナス)”を無視して、(Oの原子量) + (Hの原子量)で求まる。
つまり、多原子イオンの式量も、符号を無視して求める。
Cl-は、Cl原子に電子1つが加わったものであるので、厳密には、Cl-の方がCl原子よりも質量が大きい。
しかし、電子の質量は非常に小さいため、Cl-イオンとCl原子の質量はほぼ一緒としている。
分子量から物質量(mol)の求め方
分子量とmolの関係
原子量の考え方を振り返ると・・・
ある原子を1 mol(=\(6.0×10^{23}\)個)集めたとき、その質量は、(原子量) g である。
(例)ヘリウム(He)の原子量は4であり、He原子が1 mol集まったときの質量は、4 gである。
分子量もこれと同じであり、ある分子を1 mol 集めたときの質量は、(分子量) g である。
たとえば、分子量44のCO2が1 mol集まると、44 gになる。
例題
水(H2O)360 gは、何 molか?
【解説】
水の分子量は、(Hの原子量)×2+(Oの原子量)=18 である。
よって、H2Oは1 mol で18 g である。
つまり、36 gで2 molとなり、360 gでは、20 molになる。・・答え
まとめ
いかがだったでしょうか?
分子量の計算は、ほぼ100%の確率で、入試問題のどこかで使用することになります。
化学が必要な受験生は、必ずマスターしましょう!