古典の書き下し文ってルールが多すぎで書き方が全然わからないな。
古典の書き下し文って色々とルールがあってどう書けばいいか分かりづらいですよね。レ点や再読文字、助詞・助動詞の取り扱いや置き字の取り扱いなど覚えることは多岐に渡ります。そこでこの記事では、古典の書き下し文の文法事項を徹底的に解説して苦手を発見できるようにします。
この記事を読むことによって、初めて書き下し文に挑戦する方は、どんな文法事項を学べばいいのかが分かります。また、書き下し文が苦手な方は解説を読むことによってどこで躓いているのかが分かります。是非最後までご覧ください。
古典の書き下し文について
書き下し文とは
古典における書き下し文とは、漢文を文語の日本の文章に変換することです。
漢文は漢字だけで構成された文章であり、それをそのまま読んでいても意味がわかりません。そこで、漢文を変換するルールにしたがって日本の文章に直す工程が書き下し文ということです。
書き下しの書き下すには、漢文を意味の通るように仮名交じりの文に訳すという意味が含まれます。
また文語とは古文で使われている意味の日本語を使うことを指します。
なぜ書き下し文が必要なのか
古典の漢文はそのままでは漢字の羅列された文章であり、日本語で意味が通るように訳すために書き下し文が必要です。
ただし、書き下し文にしただけでは、文語の日本語の文章になってしまい意味が分かり辛い文章になってしまいます。しかし、書き下し文から古文のルールにしたがって現代語訳することで、私達現代の日本人にとっても分かりやすい文章となります。
漢文の文法事項徹底解説!苦手を発見してみよう
では、この項目では書き下し文を作るために必要な文法事項を見ていきましょう。レ点などの基本事項から少し難しい再読文字など網羅的に解説していきます。
返り点の基本的な読み方の解説
レ点などの読む順番を入れ替える記号は返り点といいます。レ点の他にも一・ニ点や上下点、珍しいものだと甲・乙点があります。
まずレ点ですが、この記号は直前の読む順番を入れ替えます。また二つ連続で挿入されている場合は、一番最後の漢字が一番初めに読む漢字となります。
レ点がない場合、『我見る鳥を』という書き下し文になりますが、レ点で順番が入れ替わった場合『我鳥を見る』と入れ替わります。
また一・ニ点はコンビで使われ、二点が初めに挿入され、一点がそのあと二字置いて挿入されます。二点の上の漢字は飛ばして読み、一点を読んだ直後に二点上の漢字を読みます。
この漢文を書き下すと『宋人に田を耕す者有り』となります。
上下点は一・二点とほぼ同じ使い方をしますが、注意が必要です。下点が先に挿入され上点を読んだ直後に下点がついた漢字を読むことは一二点とほぼ同じですが、上下点の間に一・二点が入っていないと使えません。
この漢文を書き下すと『我大学を見る者を知る』となります。
甲乙点に関しては上下点と同じ性質をもち、上下点を挟む形で使用します。
再読文字の解説
再読文字に関しては、返り点とセットで使用されます。二つの読み方を持つ漢字が使われ、代表的な例は未という漢字です。
未だ(いまだ)○○ず、ざるなどと表記し、返り点の順番に関わらず『未だ』の部分を先に読みます。未の漢字にはまだ○○しないという意味があります。
また他にもいくつかの代表的な例があるため、いくつか列挙しておきます。
- 将に(まさに)○○せんとす、今にも○○しようとする、するだろうという意味があります。
- 須らく(すべからく)○○すべし、○○する必要がある、しなくてはいけないという意味があります。
- 宜しく(よろしく)○○すべし、○○するのがよいという意味があります。
- 当に(まさに)○○すべし、当然○○するべきである、するはずであるという意味があります。
そのほかにも色々な再読文字が存在しており、ひとつひとつ意味を押さえることが現代語訳をする上で必要になってきます。『当に』と『将に』のように漢字が違うだけで意味が違う再読文字や漢字が違っても同じ意味の再読文字があるため丁寧に習得していきましょう。
助詞・助動詞の解説
書き下し文において、助詞・助動詞の取り扱いと表記の仕方は特殊です。先ほど説明した『未』という再読文字には二つの読み方がありました。『未だ(いまだ)』と『ず』です。
なぜ、二回目に読むときにはひらがなに直して表記するのかというと、助動詞・助詞に使われる漢字には再読文字のようにいくつかの読み方があるからです。
例えば『之』という助詞に使う漢字があります。『之(の)』という助詞として使う場合もあれば、『之(これ)』という指示語で使う場合もあります。
『之』という漢字一字だけを書かれている場合には何を指すのかが分かりません。そのため、助詞・助動詞はひらがなで表記するというルールが定められています。
置き字の解説
置き字は書き下し文において、非常に判断に困る文法事項です。まず、置き字は書き下し文において表記しないことがルールとしてあります。これは、書かなくても文語の日本語として意味が通るためです。
しかし、置き字だと思っていても意味上置き字ではなく、接続詞の意味を持つ漢字などが存在します。この場合は書き下し文に表記しなくてはいけません。
代表的な例として『而』という漢字です。置き字としても使用されますが、『而して(しかして)』と読み、『だから』という接続詞の意味を持つ漢字として機能する場合もあります。
送り仮名から判断できる場合もありますが、一つ一つの置き字の特徴と意味を押さえなくてはいけないため、書き下し文の学習において非常に難しく感じるポイントです。
古文で学んだことを活かそう
古典において、漢文と古文は非常に密接に関連しており、古文で学んだ知識を漢文に活かすことができる場面がたくさんあります。
そのなかでも、代表的なものを3つ選んでご紹介します。
古文の元になっているのは漢文
古文の題材になるほとんどの時代において、漢文は非常に大きな影響力を持った文章として存在しています。なぜなら、当時の日本人知識人がどこから知識を得ていたかというと当時の中国からだからです。
古文には漢文に関する話もふくまれており、漢文の知識で簡単に読み解けてしまうということもあります。
特に助詞・助動詞には要注意
文法の解説でお話したように、漢文の書き下し文において助詞と助動詞を覚えることは非常に大切です。これは、漢文特有の学習かと思われるかもしれません。
しかし、古文で学んだことをそのまま使えばいいだけです。助詞・助動詞の勉強は古文において大きなウェイトを占める分野ですが、覚えきるつもりで覚えてしまうと漢文に応用が効き学習スピードが上がります。
主語を特定するのも重要
古文と漢文に共通することですが、主語を特定する技術も必須です。誰が何をしたのか、言ったのかは書き下し文以外の問題を解く際にポイントになることが非常に多いです。
古文の勉強でも色々な情報から主語を特定する勉強をします。ここで学んだことは漢文にも活かされる内容なので是非習得して欲しい事項です。
まとめ
古典の書き下し文についての解説はいかがだったでしょうか。
この記事では、以下の3点に絞ってお話してきました。
- 書き下し文は漢文を現代語訳する上で必須
- 書き下し文をマスターするには漢文の文法事項をマスターすること
- 古文と漢文は共通点が多く、古文の知識は漢文の学習スピードをあげること
漢文において、書き下し文の学習は文法事項を全てマスターしないといけないため、時間がかかります。しかし、古文との関連性もあるため、古文から知識を逆輸入することで学習スピードがあがり理解も深まります。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。あなたの成績アップの一助となれば幸いです。