これで摩擦力は大丈夫!摩擦力の公式と解き方を徹底解説!

これで摩擦力は大丈夫!摩擦力の公式と解き方を徹底解説!

「摩擦って色々種類があって良く分からない」という受験生も多いと思います。

この記事を読めば、高校で学ぶ3種類の摩擦をすっきりと理解することができます。

また、「摩擦といえば、全部 \(μN\) の形!」といったよくある勘違いや、等加速度運動と絡めた頻出応用問題についても解説していきます。

ぜひ最後までお読みください。

摩擦力には3種類ある

高校で出てくる摩擦力は、以下の3種類を押さえておけばOK。

  • 静止摩擦力
  • 最大静止摩擦力
  • 動摩擦力

それぞれについて、解説していきます。

静止摩擦力とは

例えば、荒い床面に置かれた物体を右に5 Nで押したとき、物体が動かなかったとする。以下の図(赤矢印)のように、押す力とは逆の方向に5 Nの摩擦が働いているから、動かない。

この摩擦を、静止摩擦力という。(物体が静止している時に働く摩擦だから、静止摩擦力という。)

例えば、3 Nで押して動かないなら、静止摩擦力は3 Nであり、7Nで押して動かないなら、静止摩擦力は7 Nである。

ただし、摩擦力の方向は、押す力とは逆方向である。

最大静止摩擦力とは

物体に加える力を、5 N、6 N、7 N・・と徐々に大きくし、10 Nで物体が動き始めたとする。

物体に加える大きさを増やしていけば、必ず動き出す瞬間がある。

この時の、動き出す直前の摩擦力(10N)を、最大静止摩擦力という。

一応、動き出す”直前”という設定なので、「静止」していると見なし、最大「静止」摩擦力となっている。

この最大静止摩擦力は、以下の式で求めることができる。

最大静止摩擦力
\[F=μN  (μ:静止摩擦係数、N:物体に働く垂直抗力)\]

動摩擦力とは

物体を床の上で動かしているとき、物体と床の間に摩擦力が働く。これを、動摩擦力という。

動摩擦力は、以下の式で求めることができる。

動摩擦力
\[F=μ’ N  (μ’:動摩擦係数、N:物体に働く垂直抗力)\]

最大静止摩擦力とほぼ同じ形で、係数部分が違う。

基本的に、動摩擦係数や静止摩擦係数は、問題文中で数値か記号で与えられる。

最大静止摩擦力は、3つの摩擦の中で一番大きい

最大静止摩擦力が静止摩擦力より大きいのは明らかである。

最大静止摩擦力と動摩擦力はどちらが大きいのか、すぐにはイメージしづらいが、

最大静止摩擦力>動摩擦力となる。

これは、ものを動かす時に、動かしている時(動摩擦)よりも、動かし始め(最大静止摩擦)の方が”力が必要な”イメージがあると思う。

そのイメージで覚えておこう。

静止摩擦力の例題

例題:質量1.0 kgの物体をあらい面上に置いた。以下の図のように、左からから5.0 Nの力、右から4.0 Nの力を同時に加えたが、動かなかった。このときに働く摩擦力の大きさと向きを求めよ。

解説:
まず、摩擦が無かったと仮定すると、物体は右側に進む。つまり、摩擦が左側に働くことによって、右に進まず、静止している。(下図)

図を参考に、つり合いの式を立てると、以下のようになる(右を正)。

\(5.0-4.0-f=0\\f=1.0\)

よって、静止摩擦力 \(f=1.0\) N である。

最大静止摩擦力の例題

垂直抗力の求め方に注意しよう

例題:質量 \(m\) の物体を地面に置き、紐を付けて、大きさ\(S\)の力で引いた(下図)。この時、物体は地面から浮いていないとする。この物体に左から力を加え、徐々に大きくしていくと、大きさが\(F\)の時に動きだした。\(F\) を求めよ。ただし、静止摩擦係数を \(μ\)とする。

解説;
まず、\(F\)は最大静止摩擦力と等しいので、この物体の垂直抗力を\(N\)とすると、\(F=μN\) である。
よって、垂直抗力\(N\)を求めるところからスタートする。

(詳細は垂直抗力の記事を参考にしよう。)

まず、物体に働く力をすべて図示する。

そして、つり合いの式を立てて、垂直抗力を求める。下向きを正にすると、
\(-S-N+mg=0\)
よって、\(N=mg-S\)。

従って、\(F=μN\)に代入すると、

\(F=μ(mg-S)\)・・答え

静止摩擦力の中で、公式が使えるのは最大静止摩擦力のみ

静止摩擦すべてに、\(F=μN\)を適用してしまう人をしばしば見かけるが、間違いである。

\(F=μN\)は、「最大静止摩擦力」に対するものであるので、注意しておこう。

つまり、「動き出す直前の」の摩擦についてのみ、適用できる。

動摩擦力の例題

動摩擦力の基本

例題:以下のように、物体A(質量 \(m\) )とB(質量 \(M\))を重ねておき、Bを右に動かした。このとき、物体Aに働く摩擦力\(F\)の大きさと向きを答えよ。重力加速度を \(g\) とし、AとBの間の動摩擦力係数を \(μ’\)とする。

解説:
まず、Aがどう動くかを考える。下の図ように、Aは、Bから見ると、左に動いている。

よって、摩擦力は、これとは逆の右に働く。

このときの、動摩擦力の大きさ\(F\)は、Aに働く垂直抗力を\(N\)とすると、\(F=μ’N\)である。

\(N\)は、以下のように、Aに働く力を図示して求めると、\(N=mg\)。

よって、動摩擦力は右に働き、大きさは  \(μ’mg\)・・答え

動摩擦力と等加速度運動

例題:以下のように、角度θのあらい斜面に質量 \(m\) の物体をそっとおくと、滑り始めた。
(1) 動いているときの、物体の加速度\(a\)を求めよ。
(2) 滑り始めて時刻 \(t\) 後の速度 \(v\)を求めよ。

解説:
(1)
加速度を求めるときは、運動方程式を考える。まず、以下のように、物体に働く力を考える。(動摩擦力を \(f\) とする)

さらに、以下のように、斜面方向(=物体が運動する方向)に働く力のみに注目する。

物体が落ちていく方向を正方向とし、質量を \(m\) とすると、運動方程式は以下のようになる。
\[mgsinθ-f=ma\]

また、動摩擦力 \(f\) は、\(f=μ’N\) になる。

垂直抗力 \(N\) は、以下の図を参考にすると、\(N=mgcosθ\)。

よって、\(f=μ’mgcosθ\) である。

これを、運動方程式へ代入すると、以下のようになる。
\[mgsinθ-μ’mgcosθ=ma\]
よって、\(a=gsinθ-μ’gcosθ\)・・答え

(2)
(1)より、加速度 \(a=gsinθ-μ’gcosθ\)

すべて定数であるため、加速度は一定である。よって、この運動は等加速度運動である。

以上より、等加速度運動の公式を使って、時刻 \(t\) 後の速度 \(v\) を求める。

加速度 \(a= gsinθ-μ’gcosθ\)、時刻 \(t\)、初速 \(v_{0}=0\) 、が分かっているので、\(v=v_{0}+at\) を使う。
(公式についてわからない人は、等加速度運動の記事も確認してみよう。)

\[v=0+( gsinθ-μ’gcosθ)t\]
よって、\(v=g(sinθ-μ’cosθ)t\)・・答え

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