余弦定理の公式・証明・使い方を徹底解説!【例題あり】

余弦定理の公式・証明・使い方を徹底解説!【例題あり】

余弦定理の概要

余弦定理は、数学I に登場する余弦 \(\cos\) を用いて作られた公式です。
正弦定理と並んで、三角比において重要な公式となるとともに、複雑なため多くの人にとって壁になりやすい分野です。

こちらで紹介する内容をよくチェックして、苦手を潰していくようにしましょう。

余弦定理の公式

三角形ABCにおいて、辺 \(BC=a\)、\(CA=b\)、\(AB=c\) とすると、以下の式が成り立つ。

$$a^{2}=b^{2}+c^{2}-2bc\cos \angle A$$

$$b^{2}=a^{2}+c^{2}-2ac\cos \angle B$$

$$c^{2}=a^{2}+b^{2}-2ab\cos \angle C$$

これを『余弦定理』と呼びます。この三つの式はどれも、基本的には同じことを言っているので、別々に覚えておく必要は全くありません。

余弦定理の証明

余弦定理の証明では、グラフを使うやり方が効果的です。

\(A(0, 0)\)、\(B(c, 0)\) とすると、点Cの座標は \((b\cos\angle A, b\sin\angle A)\)
点Cからx軸に下ろした垂線とx軸の交点をHとすると、点Hの座標は \((b\cos\angle A, 0)\)
三角形BCHについて三平方の定理を用いて、
$$a^{2}=\left( c-b\cos\angle A\right) ^{2}+\left( b\sin\angle A\right) ^{2}=c^{2}-2bc\cos\angle A+b^{2}\left( \cos ^{2}\angle A+\sin ^{2}\angle A\right)$$

$$=c^{2}-2bc\cos\angle A+b^{2}\cdot 1$$

これを整理して、
$$a^{2}=b^{2}+c^{2}-2bc\cos \angle A$$

余弦定理の使われ方

余弦定理が利用できるのは、以下の2つの場合です。

・3辺の長さが全て分かっており、余弦または角度が知りたい場合
・2辺の長さと1つの角度が分かっており、残りの1辺と2つの角度を知りたい場合

これらの場合には余弦定理を繰り返し使うことで、全ての辺の長さ・角の大きさが分かることも覚えておきましょう。

しかし、角度が2つ以上分かっているときでも、辺の長さが1辺しかわからなければ、他の辺の長さや角の大きさを知ることはできません。
(ただし、値がわからなくても方程式を作ることはできます。)

正弦定理との使い分け

余弦定理とよく似た公式に、正弦定理があります。正弦定理の公式は以下のようになっています。

$$\frac {a}{\sin\angle A}=\frac {b}{\sin\angle B}=\frac {c}{\sin\angle C}=2R$$

正弦定理と余弦定理はどのように使い分けするのが良いかについて紹介します。

正弦定理に向いているパターン

正弦定理を使うべきなのは、以下のような場合です。

・2つ以上の角の大きさが分かっているとき
・1辺しか長さの分かっている辺がないとき
・外接円が関係しているとき

正弦定理には外接円の半径Rが登場します。問題で「外接円」や、「円に内接する三角形」といった言葉が出てきた時は、正弦定理を用いる可能性が高いです。

余弦定理に向いているパターン

・長さの分かっている辺の本数が多いとき
・大きさの分かっている角が少ない(または無い)とき

正弦・余弦を求めさせる場合

問題文で、「\(\sin A\) の値を求めよ」「\(\cos A\) の値を求めよ」のような形で出題される場合があります。

数学の問題では、角度が \(30^{\circ }\)や \(60^{\circ }\) のような分かりやすい値になるとは限らないため、角度を求めさせるのではなく、正弦・余弦の値を聞いてくるわけです。

このような場合、\(\sin\) について聞いてきたら正弦定理、\(\cos\) について聞いてきたら余弦定理を使うとスムーズに問題が解ける場合が多いので、覚えておきましょう。

余弦定理の公式の覚え方

余弦定理は数学I で学習する公式の中でもかなり複雑なので、いきなり覚えることは無理です。

以下のようなやり方を試して、じっくり少しずつ覚えていきましょう。

公式をいろいろな形でマスターする

余弦定理は上記で紹介した形だけでなく、以下のような形でも登場します。(余弦が \(cos\angle A\) 以外のものは省略します)

$$\cos \angle A=\frac {b^{2}+c^{2}-a^{2}}{2bc}$$

\(\cos \angle A\) が求めたい時、\(b, c\) の値が求めたい時など、状況に応じて色々なパターンを覚えておきましょう。

複数のパターンを頭に入れることでより余弦定理が理解しやすくなるとともに、試験の際にも短時間で問題を解くことができるようになります。

符号がごちゃごちゃでミスしやすくなっているので、問題を解きながらじっくり覚えていきましょう。

複数のパターンの問題を解く

余弦定理は見た目がとても複雑で、じっと見つめて暗記しようとしてもあまり意味がありません。

上記のような様々な形で余弦定理が登場する問題を、数多く解き、手で覚えられるようにしましょう。

問題を解きながら覚えることで、数式ではなく図形的に余弦定理を捉えられるようになり、ミスも減ります。

余弦定理を使った例題

【問題1】
\(\angle A=60^{\circ }\),  \(a=\sqrt {7}\),  \(b=2\) のとき、\(c\) を求めよ。

【解答】
余弦定理を用いて、
$$\sqrt {7}^{2}=2^{2}+c^{2}-2\cdot 2c\cos 60^{\circ}$$
$$7=4+c^{2}-4\cdot\frac{1}{2}c$$
$$c^{2}-2c-3=0$$

これを解いて、 \(c=3\)  \((c>0)\)

【問題2】
\(a=4\),  \(b=6\),  \(c=2\sqrt {7}\) の時、\(\cos\angle A\) を求めよ。

【解答】
$$\cos\angle A =\frac {6^{2}+\left( 2\sqrt {7}\right) ^{2}-4^{2}}{2\cdot 6\cdot 2\sqrt {7}}
=\frac {48}{24\sqrt {7}}
=\frac {2}{\sqrt {7}}$$

まとめ

余弦定理は式が複雑で難しく、挫折しやすい内容になっています。
しかし、余弦定理を様々な形で使いこなせるようになれば、辺の長さや角度など、限られた情報で問題を解くことができるようになります。

正弦定理・余弦定理を除くと、三角比ではこれといって難しい公式は登場しないので、問題で慣れながら、焦らずじっくり覚えていきましょう。

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