反発係数を例題とイラストで完全理解【弾性・非弾性・斜め衝突】

反発係数を例題とイラストで完全理解【弾性・非弾性・斜め衝突】

反発係数(基礎編)

反発係数とは

ボールを10 m/sの速さで壁にぶつけたら、5 m/sで跳ね返ってきたとする。同じ壁に、同じボールを、20 m/sの速さでぶつけたら、跳ね返ってくる速さはいくつか?
答えは、10 m/sである。

また、30 m/sでぶつければ、15 m/sで跳ね返る。

このボールと壁では、常に、
\[ \frac{\mbox{衝突後の速さ}}{\mbox{衝突前の速さ}}=\frac{1}{2}\]

この衝突前後の比のことを、反発係数という。

反発係数の公式と解説level①

さきほど見たように、ボールを壁にぶつける一番シンプルな場合を考える。

この後level2で、少し複雑な場合を考えるが、すべてこのシンプルな場合と同じように考えることができる。
このセクションは、反発係数においては、きわめて重要な本質部分である。

たとえば、下図のように、ボールを速度6.0 m/s(右向きを正)で壁にぶつけたら、はねかえって、速度が-1.5 m/sになったとする。このときの反発係数 \(e\)を求める。

このとき、

\[e=\frac{-1.5}{6.0}=-0.25\]
としては、いけない。

反発係数とは、常に0以上であると定義されている。

よって、

\[e=-\frac{-1.5}{6.0}\]

のようにする必要がある。この、”-を付けること”が、のちのち引っかかる人が多いように思う。

それに関しては、次の例題でも解説する。

例題演習

例題:ボールを速度 \(V\) で壁にぶつけると、跳ね返って、速度 \(v\) になった。このとき、反発係数 \(e\) を求めよ。

解説:
問題文を図にすると、以下のようになる。

ここで、\(e=\frac{v}{V}\)としてはいけない。なぜか。これでは、\(e\) はマイナスになってしまうからである。一見すると、マイナスではないが、どうしてマイナスになるのか。
それは、

跳ね返り前後では、必ず、ボールの向きが変わるから(=跳ね返り前の \(V\) と後の \(v\) の符号が変わるから)である。

仮に、上図のように右を正と決めた場合、\(V>0\)で、\(v<0\)。左を正としても、\(V<0\)、\(v>0\)。
よって、\(e=\frac{v}{V}\)は負になる。
ゆえに、マイナスをつけ、

\[e=-\frac{v}{V}\]

が答えとなる。
これは、公式として覚えておこう。

反発係数(応用編)

反発係数の公式と解説level②(2つの物体が動いている場合の衝突。)

少し複雑な場合を見ていこう。

以下のように、速度 \(V_{A}\) のAが、速度 \(V_{B}\) のBに衝突し、Aが速度 \(v_{A}\)、Bが速度 \(v_{B}\)になったとする。このときの反発係数を求める。

(※図では、AとBが常に同じ方向に進んでいるように書いているが、必ずしもそうでなくても良い。速度で考えているので、逆向きであったとしても、\(V_{B}\)などの記号はそれを含めたものであるから、気にする必要はない。)

さきほどと異なり、両方とも動いている。しかし、この場合も、1で見たようなシンプルな場合に置き換えて考える。つまり、

物体Bを静止していると見なして考える。

以下がその図である。

物体Bの速度=0とみなしている分、
衝突前のAの速度は \(V_{A}-V_{B}\)、衝突後のAの速度は \(v_{A}-v_{B}\)となる。(相対速度のように考えている)

(※衝突後、AとBが合体しない限り、必ずAはBから離れる。つまり、衝突後、静止しているとみなしたBから見ると、Aは必ず離れているように見える。ゆえに、上図のように、 \(v_{A}-v_{B}\)で離れているとしてよい。)

結局level①と全く同じように反発係数を考えられる。

結局この例題は、以下のように、1で見たようなシンプルな場合に帰着する。

「ボールAを速度 \(V_{A}-V_{B}\) で静止するBにぶつけると、跳ね返って、速度 \(v_{A}-v_{B}\) になった。このとき、反発係数 \(e\) を求めよ。」

つまり1-3で見た例題の \(V=V_{A}-V_{B}\)、\(v=v_{A}-v_{B}\)の場合である。よって、反発係数は、

\[e=-\frac{v}{V}=-\frac{v_{A}-v_{B}}{V_{A}-V_{B}}\]
(\(V_{A}\),\(V_{B}\):衝突前のボールA,Bの速度、  \(v_{A}\),\(v_{V}\):衝突後のボールA,Bの速度)

これが、よく教科書や参考書で公式として掲載されている。
結局は、1で見たシンプルな場合に帰着して考えることができる。

例題演習

例題:下図のように、速さ20 m/sで動くAが、速さ10 m/sで動くBに衝突した。衝突後、Aの進む向きが逆になり、速さは5.0 m/sになった。このときの反発係数を0.50とすると、衝突後のBの速さを求めよ。

(※ 衝突後のBは、どちら向きに進むか不明なので、矢印はあえて書いていない。以下の計算では、\(v_{B}\) を速度として向きも含めているため、問題ない。)

解説:
公式として紹介した2-2中の文字は、すべて速度である。一方、今回の問題文中の数字は「速さ」であることに注意。とはいっても、左or右のどちらかを正に決め、速さを速度に直せばよい。

右を正にすると、衝突前のAの速度は20 m/s、Bの速度は-10 m/s。
衝突後のAは、-5.0 m/sである。衝突後のBの速度を、\(v_{B}\)とおく。
反発係数 \(e=0.50\)である。

この時点で、公式\[e=-\frac{v}{V}=-\frac{v_{A}-v_{B}}{V_{A}-V_{B}}\](\(V_{A}\),\(V_{B}\):衝突前のボールA,Bの速度、  \(v_{A}\),\(v_{B}\):衝突後のボールA,Bの速度)

に代入して計算し、\(v_{B}\)を求めればよい。

\[0.50=-\frac{(-5.0)-(v_{B})}{(20)-(-10)}\\[10mm]v_{B}=10\]

右が正より、Bは衝突後「右に速さ10 m/sで進む」。よって、

\[10\  \mbox{m/s}\cdot\cdot答え\]

もし、公式を忘れてしまっても、2-1~2-2のように、片方を静止していると見なして計算すればOK。

弾性衝突と非弾性衝突

反発係数 \(e=1\) の衝突を弾性衝突という。反発係数 \(e=1\) とは、衝突前後の速度を\(V\)、\(v\)とすると、
\[1=-\frac{v}{V}\]

であり、\(v=-V\)となる。つまり、衝突前後で、向きは変わるが、速さは同じである。
一方、\(0≦e<1\)の衝突を、非弾性衝突という。一般的に、現実世界では、この衝突の場合が多い。

\(e=0\)の場合は、\(v=0\)となる。つまり、反発はしない。このような衝突を、完全非弾性衝突という。イメージでは、粘土にボールを落として、くっつく場面である。

斜め衝突

ここまでは、一直線上にある物体の衝突を見てきた。しかし、応用問題として、以下のように斜めに衝突する場合が出題される。

例題演習

例題:ボールを、以下の図のように、水平方向から \(θ\) の方向から床に衝突させた。衝突直前の速さを \(V_{0}\)とする(図中には、分かりやすいよう、直前の絵のように書いていない)。床とこのボールの反発係数を\(e\)とするとき、衝突直後のボールの速さ\(U\)を求めよ。(同じく、分かりやすいように、図中には直後の絵として書いていない)

解説:
まずは、物理の基本、「斜めの運動は、鉛直方向と水平方向に分解」をする。以下の図のようになる。

step① まず、水平方向を考える。
水平方向の速度は、床と平行な方向である。よって、摩擦などが働かない理想的なケースでは、水平方向だけに注目してみれば、「摩擦の働かない床を、速度 \(V_{0}cosθ\) で運動している」とみなせる。つまり、

衝突前後で、ボールの速度の水平成分は変化しない。

よって、衝突後の速度の水平成分は \(V_{0}cosθ\)になる。(下図)

step② 鉛直成分を考える。
鉛直方向は、「速度 \(V_{0}sinθ\) で、鉛直下向きに反発係数 \(e\) の衝突をし、跳ね返った」とみなせる。よって、衝突後の速度の鉛直成分を\(U_{y}\)とすると、(下向きを正に考える)

\[e=-\frac{U_{y}}{V_{0}sinθ}\\[5mm]U_{y}=-eV_{0}sinθ\]
となる。

よって、以上をまとめると、以下の図(□囲み)のようになる。

\(U\)を求めると、
\begin{eqnarray*}U^2&=&(V_{0}cosθ)^2+(eV_{0}sinθ)^2\\&=&V_{0}^2(cos^2θ+e^2sin^2θ)\end{eqnarray*}

\(U\)は、速さであるので正。

よって、
\[U=V_{0}\sqrt{(cos^2θ+e^2sin^2θ)}\cdot\cdot答え\]

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