高校の化学で習う『物質量(mol)』がよく分からない受験生も多いではないでしょうか?
今回の記事では、そんな厄介な物質量を簡単に理解できる方法を伝授します!
物質量ってわかりにくいよね・・
でもこの記事のように考えると、意外と簡単って思えるかも!?
物質量“モル(mol)”とは?
1 molとは、(粒子数が)\(6.0×10^{23}\) 個のことである。
これは、「1ダースが12本であること」と全く同じ考え方である。
なぜ 1 mol=\(6.0×10^{23}\) 個?
これは、「炭素原子(原子量12)を\(6.0×10^{23}\) 個集めたら、12 gになる」というのが由来である。
そして、
「ある原子を \(6.0×10^{23}\) 個集めると、(その原子の原子量) gとなる。
【例】窒素原子(原子量7)を\(6.0×10^{23}\) 個集めると、7 g」
つまり、\(6.0×10^{23}\) というのは、非常に便利な数字なのだ。
これは、分子量でも式量でも同じである。
つまり、H2O(分子量18)を、\(6.0×10^{23}\) 個集めると、18 gになる。
これらが、\(6.0×10^{23}\)の由来である。
ちなみに、\(6.0×10^{23}\)は、アボガドロ定数と言われる。
mol計算はこう考えれば簡単!
モルとダースは同じ考え
モルの計算は、ダースの計算ができれば、すべて同じ考え方で解くことができる。
molと聞いて、「難しそう」「私には無理だ」と思う必要はない。
以下のように、ポッキーの数や重さが計算できれば、mol計算もできる。
ポッキーを例にmol計算の考え方を体感しよう
【例題】
ポッキー1ダースは、12本で、約30 gです。
それでは、ポッキー3ダースでは、全部で何本で、何gでしょう?
答えは・・・12×3=36本 、30×3=90 g
あえて丁寧な考え方を説明すると、以下の通り。
1ダース=12本=30 gを「基準」として計算している。
次に、逆の計算もしてみよう。
【例題】
ポッキー1ダースは、12本で、約30 gです。
では、ポッキー60本は何ダースでしょう?
答えは・・・60÷12=5ダース
こちらもあえて丁寧な考え方を説明してみる。
12本を5(=\(\frac{60}{12}\))倍したら、60本になるので、1ダースの方も5倍して5ダースとなる。
mol計算の基本
mol計算では、ダース計算と同様に、以下の「基準」を基に計算する。
1 mol ⇔ \(6.0×10^{23}\) 個 ⇔ (原子量or分子量or式量) g ⇔ 22.4 L (気体のみ)
※22.4 Lは、あくまで標準状態での、1 molの気体の体積。標準状態とは、0 ℃、\(1.0×10^{5}\) Paの状態を表す。問題文を読み、「標準状態」でなかったら、22.4 は使えない。
また、\(6.0×10^{23}\)という数は、テストや入試などでは「アボガドロ定数を、\(6.0×10^{23}\) /mol とする」のように書いてあるので、覚える必要はない。
それでは、例題を通して、mol計算の基礎を学んでいこう。
molと個数の変換(例題)
ヘリウム原子 \(3.0×10^{23}\) 個は何 molか?
【解説】
さきほど紹介したように、以下のように「基準」を用いて計算する。
\(6.0×10^{23}\) を \(\displaystyle 0.50(=\frac{3.0×10^{23}}{6.0×10^{23}}\) )倍すると、\(3.0×10^{23}\)になるので、molの方も\(0.50\) 倍する。
よって、0.50 mol・・答え
molと質量の変換(例題)
水酸化ナトリウム(NaOH)0.20 gは何 molか?
ただし、原子量は、Na=23、O=16、H=1。
【解説】
同じく、「基準」を用いて計算する。
その際、質量の話をしているので、NaOHの式量を求める必要がある。
NaOHの式量=23+16+1=40。よって、以下のようになる。
40 gを、\(\displaystyle \frac{0.20}{40}\)倍すると、0.20 gになるので、molの方も\(\displaystyle \frac{0.20}{40}\)倍する。
よって、\(\displaystyle \frac{0.20}{40}\) mol = \(5.0×10^{-3}\) mol・・答え
molと体積の変換(例題)
標準状態の二酸化炭素11.2 mLは、何 molか?
【解説】
もうお決まりの「基準」を使います。
しかし、1つ注意なのが、11.2 “mL”。
1 molは22.4 “L”なので、単位をそろえて計算する必要がある。
”m(ミリ)”は \(10^{-3}\)という意味なので、
\(11.2 \) mL = \(11.2×10^{-3}\) L。
よって、以下のように計算できる。
22.4 Lを、\(\displaystyle \frac{11.2×10^{-3}}{22.4}\)倍すると、\(11.2×10^{-3}\) Lになるので、molの方も\(\displaystyle \frac{11.2×10^{-3}}{22.4}\)倍する。
よって、\(\displaystyle \frac{11.2×10^{-3}}{22.4}\) L = \( 5.00×10^{-4}\) L・・答え
質量と体積の変換
標準状態の二酸化炭素11.2 mLは、何 gか? 原子量は、C=12、O=16。
【解説】
これまでのようにmolが絡んでこなくても、やり方は全く同じ。
CO2の分子量は、12 + 16×2 = 44であるので、以下のようになる。
よって、
\(44×\displaystyle \frac{11.2×10^{-3}}{22.4}\) g = \(44×5.00×10^{-4}\) g
= \(2.2×10^{-2}\) g ・・答え。
mol計算の応用
【例題】分子に含まれる原子の総数
ここまで来たら、応用問題にも挑戦してみよう!
CO2分子 1 molには、原子は何 mol含まれているか?
【解説】
この場合、まず、CO2分子1個には、何個の原子が含まれているかを考える。
CO2分子1個には、C×1 + O×2の計3個の原子が含まれる。
よって、「molは個数と同じ。よって、同じように3倍して、CO2分子1 molには、原子は1 mol×3=3 mol 含まれる。」と説明する場合が多い。
この説明だけで理解出来ればそれでOK。
ただ、この説明であまりピンとこない場合は、是非以下を読み進めてほしい。
それでは・・・
CO2分子1個に、計3個の原子が含まれるということは、CO2分子2個には原子は何個か?
・・・2×3=6個。
続けて、
CO2分子10個には、原子は10×3=30個。
CO2分子1000個には、原子は1000×3=3000個。
それでは、この流れで
CO2分子 \(6.0×10^{23}\) 個には、原子は \((6.0×10^{23})×3\) 個・・★
もう勘のいいひとなら分かったのではないでしょうか。
\(6.0×10^{23}\) 個は1 molのことであるので、★の文章の\(6.0×10^{23}\) 個を1 molに置き換えると、
CO2分子1 molには、原子は 1mol×3 = 3 mol 含まれる。・・答え
まとめ
今回の記事のまとめは以下のようになります。
- 結局、molとは、日常で慣れ親しんでいる「個数」のこと。
- 困ったら、「ダース」を思い出して、計算していこう。
物質量“モル(mol)”は、高校化学の基礎となります。
そのため、しっかりと理解しておくことが必須となります。
最初はとっつきにくいかもしれませんが、本記事を利用して頑張ってマスターしてください!