作用反作用は、日常生活でもイメージしやすい内容です。
今回は、作用反作用の問題を解くうえで大事なポイントを3つ紹介します!
よく混同してしまう力のつり合いとの違いも解説します。
日常生活の例や例題演習を通して、確実に作用反作用をマスターしよう!
作用反作用とは?
日常生活の例
壁の前に立ち、思い切り壁を手で押すと、跳ね返えされる。
このとき、押した力と同じ大きさで逆向きの力が働き、跳ね返される。
このような、与えた力と同じ大きさで逆向きの力を受けることを、『作用反作用の法則』という。
作用反作用の3つのポイント
作用反作用のポイントは以下の3つである。
① 大きさが同じで方向が逆。
② 2物体間に働く。
③ 重力ようなケース(→1.3)を除き、作用反作用は、”接触”している2物体間に働く。
さきほど壁の例でいえば、以下の2つの力が作用反作用の関係である。
①は、さきほど述べた通り。
②は、さきほどの壁の例で言えば、
人が壁を押す力(上図の青矢印)の反作用が、壁が人を押す力(赤矢印) ということである。
つまり、「壁に働く力」と「人に働く力」のように、「壁」と「人」の2物体に働く。
③については、あとで詳しく述べるが、作用反作用は、基本的に人と壁のような接触している2物体間に働く。
重力の反作用は??
物理でよく出てくる力の1つに、重力がある。
では、この重力の反作用は一体何なのか??
そもそも、重力とは「地球が物体を引く力」である。
つまり、「地球」と「物体」の2物体間に働く力なのだ。
よって、先ほどの壁の例のように考えると、
重力(=地球が物体を引く力)の反作用は「物体が地球を引く力」となる。(以下の図)
ほとんどの場合、作用反作用は、”接触”している2物体間に働く。
しかし、今回の重力のように、接触していない場合もまれにあるので注意してほしい。
例題演習
解説;
1.2の作用反作用のポイント(以下①~③)に注意して考える。
② 2物体間に働く。
③ 重力のようなケースを除き、作用反作用は、”接触”している2物体間に働く。
まず(1)から見ていく。
張力=「糸が物体を引く力」なので、張力の反作用は「物体が糸を引く力」である。
図示すると、以下の赤矢印である。
次に、(2)。
摩擦=「床が物体におよぼす力」なので、摩擦の反作用は「物体が床におよぼす力」である。
図示すると、以下のようになる。
よくある勘違いの解説
作用反作用と力のつり合いの違い
作用反作用と力のつり合いをよく混同してしまう人がいる。
見分ける一番のポイントは、
力のつり合い:1つの物体に働く力を考えている
2物体か1物体かで見分ける事が出来る。
たとえば、以下の図に書かれたA~Cの力について考える。
AとBは、物体に働く力であり、Cは床に働く力である。
よって、作用反作用の関係[=2物体間に働き(この場合、物体と床)、同じ大きさで逆向き]は、BとCである。
一方、1つの物体に働いているAとBが、つり合いの関係にある。
作用反作用と力のつり合いを見分けるには、以下のような目安もある。
① 作用反作用:2つの力の始点が接触している
② 力のつり合い:2つの力の始点が離れている。
※ただし、さきほどの1.3の重力の例のように、接触していなくても作用反作用になる場合もある。
必ずしもこうとは限らないので、注意して欲しい。
例題
解説:
さきほどのポイントを思いだして解く。
① 大きさが同じで方向が逆。
② 2物体間に働く。
③ 重力のようなケースを除き、作用反作用は、”接触”している2物体間に働く。
基本的に③から考えると楽なことが非常に多い。
接触している箇所は、今回2つ。
A&B と D&Eである。
見て明らかなように、この2つは①を満たしている。
②については、
A&Bは
A:糸が物体を引く力
B:物体が糸を引く力
となり、満たす。
D&Eも、
D:床が物体を押す力
E:物体が床を押す力
となり、満たす。
よって、答えはA&B と D&Eである。
まとめ
いかがだったでしょうか?
作用反作用のポイントは、以下の3つです。
② 2物体間に働く。
③ 重力のようなケースを除き、作用反作用は、”接触”している2物体間に働く。
力のつり合いと混同したり、重力のような特殊な場合もあったり、意外と注意点がある作用反作用。
今後、力学の分野では頻繁に登場するので、是非この機会にマスターしておきましょう!